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本格的な降雪に備え、農業用施設被害の未然防止に努めましょう。
また、ハウスの管理は、安全を確保した上で、以下の対策に留意し被害防止に努めましょう。
1 作業の安全確保
(1)積雪対策を行う場合は、人命優先です。安全を確保した上で、複数人で作業しましょう。
(2)加温のためハウス内部に家庭用暖房器等を持ち込む場合は、火災や一酸化炭素中毒に注意し、長時間ハウス内に滞在しないようにしましょう。
(3)ハウスの屋根に耐雪強度※1を超える積雪がある場合は、倒壊のおそれがあるため、施設内に入らないようにしましょう。あらかじめ、自分のハウスの耐雪強度を確認しておきましょう。
(4)除雪を行う場合は、ヘルメットをかぶり、滑りにくい長靴などを履いて作業しましょう。
2 施設園芸・水稲育苗用パイプハウス
(1) 事前対策
ア.冬期間に使用しないハウスのビニルは、事前に除去しましょう。
イ.屋根の雪の滑落促進のため突出物などをなくしましょう。積雪による被覆資材のゆるみに注意し、杭やハウスバンドによる押さえを強化しましょう。
ウ.パイプハウスの補強対策として、筋交い直管、中柱やタイバーなどを設置しましょう。
エ.除雪機の保守点検を行いましょう。
(2) 自分で行うことができる対策事例
ア.筋交い直管による補強(耐力20%程度向上)
筋交い直管は、各アーチパイプと部品等で固定し、下端部は必ず地面に30cm以上埋め込みます。
イ.中柱(仮支柱)による補強
棟部に対し、左右バランスの良い中心位置に設置します。支柱の根元は沈み込まないようにブロック等を置きます。
ウ.タイバーによる補強
軒から棟の高さをfとすると、軒から上f/4の位置に取り付けます。
※ 参考資料 「平成 26 年2月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策指針<外部リンク>」 (一般社団法人 日本施設園芸協会 平成 26 年7月)
(3) 除雪
ア.屋根や側面の雪は、安全を確認して速やかに除雪しましょう。除雪を行う場合は、ハウスの両サイドの雪をある程度取り除いてから屋根にたまった雪を下ろし、再度除雪するようにしましょう。また、ハウスの片側だけ除雪すると倒壊するおそれがあるので、両側から均等に除雪するようにしましょう。
イ.古い被覆資材は滑りが悪いので、優先的に除雪しましょう。また、短時間に多量の降雪があり、雪下ろしが間に合わない場合は、被覆資材を切るなどして施設の倒壊を防ぎましょう。
ウ.暖房機が設置されている場合は、内部のカーテンを開放した上で、可能な範囲で室温を高め、屋根の雪を滑落させるようにしましょう。
(4) 低温対策
ハウス内で農作物を栽培している場合は、農作物が生育遅延や低温障害等の影響を受けないよう、加温等により施設内の適正な温度管理に努めましょう。また、燃料残量を確認するとともに暖房機器や電源、配線等についても正常であるか事前に確認しましょう。
(5) 除雪後の施設点検と補修
除雪後はハウスや被覆資材各部の損傷、ゆるみ、たるみ等を点検し、必要に応じて補修を行いましょう。特に、主管をつなぐジョイントや専用金具がゆるんでいる場合が多いので、確認して補修しましょう。
なお、詳しくは福島県農業振興課のホームページに「パイプハウスの雪害防止対策(暫定版) 福島県 平成 23 年3月<外部リンク>」として掲載していますので、ご覧ください。
3 果樹
(1) 樹体被害等の防止対策
ア.多目的防災網や防鳥網を展張している園地では、積雪による施設及び樹体の被害を回避するため、収穫後早急に取り除くか、棚上にできるだけ小さくして収納しましょう。
イ.樹体や果樹棚への着雪が多い場合は、速やかに雪下ろしを行いましょう。また、主枝や亜主枝などには支柱を添え、折損等の未然防止を万全にしましょう。
ウ.りんごのわい化栽培等では、主幹部が木支柱やトレリスにしっかり固定されているか確認しましょう。
エ.枝が雪に埋没している場合は、雪の沈降が進まないうちに掘り出しましょう。なお、雪が固まってから掘り出す場合は、周囲に切込みを入れて溝を作り、沈降力を軽減してから行いましょう。
(2) 樹体被害等を受けた場合の対策
ア.主幹部が裂開した場合には、できるだけ早急に支柱を添え、カスガイやボルトで早めに止めて接合しましょう。また、大枝が折損した場合は、折れた部分からやや基部の健全な部分まで切り戻しましょう。さらに、傷口から病害等が侵入しないように、傷口の保護に努めましょう。
イ.果樹棚のワイヤー等が破損した場合は、速やかに修復や補強を行いましょう。
4 畜舎及び施設
(1) 事前対策
ア.畜舎、飼料庫、飼料タンク、堆肥舎等の損壊及び風雪の吹き込みを未然に防止するため、屋根、扉、窓、外壁等の破損や亀裂等の有無を確認し、必ず補修等の応急措置を行いましょう。
イ.開放された飼料の保管場所では、乾草や稲わら等をシートで覆うなどにより、風雪がかからないようにしましょう。堆肥舎への風雪の吹き込みも併せて防止しましょう。
ウ.あらかじめ停電や断水等の対応を確認し、被災時には自家発電機等による搾乳等ができるよう対策を行いましょう。低温時には、水道管、バーンクリーナー、搾乳機器の凍結が心配されるため、凍結防止対策を適切に行いましょう。
(2)除雪
積雪による畜舎等の倒壊を防止するため、積雪の状況に応じて早めに畜舎等の除雪を行いましょう。特に、ハウス式の畜舎や堆肥処理施設等の簡易施設は除雪作業をこまめに実施し、積雪による倒壊等の被害を防止しましょう。
5.参考
福島県農業振興課ホームページ<外部リンク>にて他の農業技術情報(生育情報、気象災害対策、 果樹情報、特別情報)もご覧ください。