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村長あいさつ(就任3年にあたって)

更新日:2019年11月13日更新 印刷ページ表示

    葛尾村長 篠木 弘

    村長あいさつ(就任3年にあたって)

     3年前に村長の職を拝命し、村の復興再生にあたっては、「住民の安全安心の確保」、「医療福祉の充実」、「教育と絆づくり」、「産業の再生と働く場の確保」、「人口対策」、「帰還困難区域の対応」の六項目を重点事項として全力で取り組んでまいりました。東日本大震災及び原発事故から8年8か月が経過し、また、平成28年6月に帰還困難区域を除く避難指示が解除されてから3年5か月となりました。昨年5月には帰還困難区域である野行行政区の葛尾村特定復興再生拠点区域復興再生計画が国に認定され、現在、本格的に家屋解体と除染が始まっております。
     就任3年の節目にあたり、復興の主な進捗状況を申し上げたいと存じます。

    1. 生活機能の回復
       全村避難によって、一旦暮らしや生業が奪われてしまったことでの歪みは想像以上に大きく、重い課題が山積し、何から取り組んだらいいのか分からない混沌とした状況にありました。避難指示が解除された後も住民の不安が大きかったため、まずは安全・安心を最優先に、村での生活環境を震災前程度の状況まで整えることに取り組みました。
       なかでも、小売店、食堂の皆さんが村内再開を決め、買い物環境が整ったことが村の活気を取り戻し、復興を進める上で非常に大きな転機となりました。震災前からお世話になっていた歯科医師のご協力により歯科診療所が再開、平成29年11月には一般社団法人田村医師会に多大なるご尽力をいただき、内科診療所の再開を果たすことができました。その後、平成30年4月に、幼稚園、小中学校が避難先から村内に戻り、村の希望である子ども達の声が村内に響くようになったことは、村を挙げてのこの上ない喜びでした。
       このように一度なくなってしまった機能を回復させていく作業は、すべてにおいて鶏と卵の側面があり困難を極めましたが、早くから村に戻って不便な中でも住み始めてくれた皆さんを始めとする村民の強い意志と努力、支えてくださる多くの皆さんのお力添えによって一つ一つ環境を整えていくことができたことは本当に有り難いことだと感じております。

    2. 産業の再生
       農畜産業を始めとする生業の再生については、優良農地が放射性廃棄物の仮置場になっており、これまで営農再開を妨げておりましたが、ようやく解消の目途が見えてきました。村農業再生協議会で農業者からの提案を受け、緑肥となるクリムゾンクローバー(別名ストロベリートーチ)での土壌づくりを行う農地保全管理を展開しました。畜産においては、繁殖肉用牛、酪農、養鶏、緬羊、山羊などの飼養も復活するなど、農業者の皆さんの努力が形となって現れてきております。「美しい農のある風景を再び」の合言葉の下、村の農業再生アクションプランを取りまとめ、水稲や園芸作物などについても更なる拡大を図ってまいります。平成30年1月から胡蝶蘭栽培施設が稼働を始め、また、平成30年6月に繊維製造業の企業が村に進出し、新たな雇用の場が増えました。これからも産業団地の整備によって更なる働く場の創出に努めます。

    3. 新たな挑戦
       平成30年3月に設立した一般社団法人葛尾むらづくり公社は、復興のシンボル施設として整備した村復興交流館あぜりあを拠点に、村との車の両輪のごとく民間の発想で村民の活躍の場を創出する地域づくりの取組を進めております。今後は、せせらぎ荘を始めとする公共施設管理や自転車ロードレース「ツール・ド・かつらお」などの各種イベントを効果的に実施するとともに、ふるさと納税を核とした村内事業所の販路確保による地域内経済循環を構築したいと考えております。
       また、再生可能エネルギーの取組も推し進め、村内での電気の地産地消によるスマートコミュニティを展開する葛尾創生電力株式会社や、阿武隈山系の気象条件を生かした風力発電を担う葛尾風力株式会社も設立しました。未来の村のカタチをつくるため挑戦を続けてまいります。

    4. 村の良さを生かした取組
       葛尾村は、地域の絆、支え合いが残る素晴らしい村です。村民一人ひとりが健康で豊かな暮らしを営んでいけるよう、村民自らが声を掛け合って集まるお茶飲みサロン、それぞれの状況に応じた体力づくり、脳トレ等を行ういきいき交流会や地域のお宝発表会など、地域で支え合う仕組みを創り、助け合い支え合う地域の良さを引き出してより一層住みやすい環境にしていきたいと考えております。
       さらに、村固有の歴史や伝統文化に再び光を当て、「葛尾村開拓民の歩み」の冊子作製や薬師寺収蔵物企画展の開催、葛尾村指定無形民俗文化財の保存継承などを通じて、地域のアイデンティティー継承にも取り組んでおり、令和元年9月に行われた葛尾大尽屋敷跡での能狂言の公演は、能舞台を復活させ、江戸時代に催されていた葛尾大尽の歴史を再現したもので、村民の皆さんに地域の誇りを蘇らせてくれたのではないかと感じております。また、葛尾大尽ゆかりの史跡を巡るバスツアーにもたくさんの方々にご参加いただき、本村の魅力、素晴らしさを広く発信できたものとうれしく思っております。

    5. 子育て環境の充実と交流人口の拡大
       村民からの提案を受け、新しい生命の誕生を地域みんなで祝い、世界に一つだけの木製の椅子を贈る「君の椅子」プロジェクトにも参加しました。村独自にみらいこども助成金を設け、村に住む15歳未満の子ども1人につき月2万円を支給しているほか、幼稚園での3歳未満児の一時預かり保育事業も開始し、幼稚園、小中学校では、少人数ならではの魅力ある教育を展開しており、子どもたちがいきいきと学び、みんな仲良く活動しております。地域の宝である子ども達を村民みんなで育て、新たな住宅整備や空き地空き家バンクなどの取組も含め、子育て環境を充実させながら、交流人口の拡大や移住・定住の促進を図ってまいります。
       また、令和元年5月から6月にかけて、帰村3年の節目に住民の避難等でお世話になった三春町、会津坂下町、柳津町と地域間交流に関する協定を締結いたしました。これまでの支援に感謝を忘れず、培ってきた絆を強め、発展的な相互交流を進めていきます。

    6.  帰還困難区域の対応
       新たに平成30年12月に、関係6町村で構成する「原発事故による帰還困難区域を抱える町村の協議会」を設立し、私が会長となって、平成31年4月と令和元年11月に国などへの要望活動を実施しました。各町村が同区域の復興再生計画を策定して、ようやく除染が開始されたものの、既に避難指示が解除された地域と比べて復興は大きく遅れ、また、特定復興再生拠点に入らなかった区域への対応など、引き続き深刻な課題を抱えております。引き続き帰還困難区域の置かれた状況や住民の切実な声を強く訴えてまいります。

     このように、多くの皆さんの多大なるご支援に支えられ、村民一人ひとりの思いと挑戦、努力が結集して、今、葛尾村では新たな村の創造がなされています。本当に有り難く、感謝の念に堪えません。本村は帰還困難区域を抱え、村外に避難を続けている方々もたくさんおり、まだまだ課題は多いですが、持続可能な地域づくりを目指し、葛尾プライドを持って人々が取り組んでいければ、小さい村であっても必ずや明るい未来が待っていると信じます。改めてこれまでの物心両面にわたる数々のご支援ご厚情に深く感謝申し上げます。
     今後とも国や県を始めとする関係の皆様、復興にご理解をいただく国民の皆様方のお力添えに感謝しながら、絆を大切にし、四季の美しい「ふるさとかつらお」の再生、村の新たな創造のために、諸課題に一つ一つ誠心誠意取り組んでまいる所存でございます。議会及び村民の皆様、葛尾村を応援してくださる皆々様には、今後とも、より一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げ、就任3年の節目におけるご報告といたします。

    令和元年11月12日

    葛尾村長  篠木 弘


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